晴れの日に比べて、なぜか「外れる」「届かない」ことが増える雨の日のパット。
ラインも見えている、打ち出しも悪くない、それなのにカップに届かない、切れすぎる、あるいは切れない——。
中上級者であっても、雨の日のグリーンは“読み”と“転がり”のズレによって、スコアを崩しかねません。
この記事では、雨の日にライン読みがズレてしまう原因=3つの落とし穴と、
それを乗り越えるための考え方と実践方法を徹底解説します。
1. ズレ①:転がりの落とし穴 —— ボールが止まる「想定外の減速」
雨の日は、グリーンが濡れて芝が水分を含むことで、ボールが想像以上に減速します。
これは物理的な抵抗が増えるためで、晴れの日と同じ強さで打った場合、途中で失速し、
「最後にもうひと転がり」が出ずにショートするケースが非常に多くなります。
特に下りラインや横傾斜では、ボールが転がることで自動的に曲がるはずが、
減速によって“切れない”現象が発生。
一方で、上りで強く打ちすぎれば、滑ってカップのフチで切れすぎるパターンもあります。
つまり、雨の日はただ「重い」というだけでなく、転がり出してからの減速具合が不安定になり、
ラインの読みと実際の球筋にズレが生じるのです。
▶ 対策:「距離感を1段階強め」に変更する
晴れた日よりも20〜30cm長めに転がす意識を基本的に持ち、あとは雨の量等により強さを変えましょう。
あらかじめ「ショートしやすい」ことを前提にラインを引くようにすることをお勧めします。
そして、打ち出しがズレていないのに外れた場合は、まずは距離感の見直しを第一に考えましょう。
また、パターの芯でヒットできるよう、スイングテンポを崩さず強く打てるフォームを日頃から作っておくことも重要です。
2. ズレ②:傾斜読みの落とし穴 —— 水の流れが読みを狂わせる
多くの中上級者は、グリーンの傾斜や芝目を読んでパッティングラインを設定しています。
しかし、雨の日はその傾斜に水の流れが加わることで、ラインの読みが根本からズレることがあります。
たとえば、左から右に切れるはずの傾斜で、実際には水が右から左に流れていれば、
**ボールは水の抵抗で“あまり切れない”**か、**逆に“水の流れで余計に流される”**といった変化が生まれます。
また、グリーンの低いエリアには水が溜まりやすく、
“水たまり”が傾斜と別の方向への抵抗を生むこともあります。
つまり、通常のライン読みでは通用しない**“グリーン上の水の流れ”という変数**が入り込むのが、
雨のパットが難しくなる最大の要因です。
▶ 対策:「傾斜+水の流れ」をセットで読む
ラインを読むときは、傾斜だけではなく「水はどちらに流れているか?」にも目を向けましょう。
雨粒の落ち方や、グリーン上に薄く浮いている水の“動き”を観察することで、
水が傾斜の影響を打ち消していないか、加速させていないかを判断できます。
特にロングパットや、強めに打つ場面では、水の流れがラインを大きく変えることがあるため、
**「傾斜より水優先」**の読み方を選ぶのも一つの戦略です。
3. ズレ③:感覚の落とし穴 —— ストロークテンポが崩れている
パットが届かない、外れるというと、「ライン読みのせい」と考えがちですが、
実は自分のストロークテンポがズレていることも少なくありません。
雨の日は、滑らないように構えが慎重になり、
手や腕の力が入りすぎたり、逆にビビってインパクトが緩むなど、
**“いつも通りに打てていない”**ことが非常に多いのです。
特にレインウェアで動きが制限されていたり、グリップが濡れて滑ることを恐れて握りが強くなっていると、
ストロークの再現性が落ち、距離感・方向性の両方にブレが出ます。
▶ 対策:「1テンポ速く・振り切る」を意識する
雨の日はむしろ、いつもよりテンポを少し速く・スムーズに振ることを意識してください。
「滑らせるように打つ」イメージで、強く打つのではなく弱くならないように打つ感覚が大切です。
また、構えたあとに「自分の体が固まっていないか?」を確認し、
グリップ圧とスタンスの自然さを維持することで、雨でもテンポが崩れにくくなります。
4. 雨の日のパットを支えるマネジメント的視点
▶ 読みの“正解率”より、“致命傷を防ぐ”読み方を
中上級者でも、雨の日のパットが「思ったように読めない」ことは避けられません。
そこで重要なのは、完璧なライン読みを目指すことではなく、ミスの幅を最小限に抑える読み方です。
たとえば、オーバーすれば速い下りが残るラインなら、やや手前に止めるつもりで読む。
傾斜と水の流れが複雑なら、「カップの左フチを通ればOK」といった**“幅を持たせた目標”を設定する。
このように「入れる」より「外さない」ラインの選び方**が、雨の日のスコアメイクに直結します。
▶ パット練習は「雨の日仕様」での感覚チェックを
本番で差がつくのは、「雨の日でも普段通りに打てる」準備があるかどうか。
- 重いマットでの距離感トレーニング
- グリップがやや滑る状況でも安定する握り方
- ウェアを着た状態でのストローク感覚の確認
これらを練習に取り入れるだけで、雨の日特有の“自分のズレ”を予測・補正できるようになります。
5. まとめ:ズレを前提に組み立てるのが“雨の日の戦略”
雨の日のパットが難しいのは、「ズレてしまう」からではありません。
“晴れの日と同じようにやろうとする”ことで、ズレを放置してしまうからです。
✅ ライン読み3つのズレまとめ:
- 転がりのズレ:雨で想像以上に止まる
- 傾斜のズレ:水の流れがラインを狂わせる
- 感覚のズレ:慎重すぎてテンポが崩れる
これらを前提としてラインを引き、打ち方を調整する。
その意識だけで、雨の日のパットは確実に安定します。
「今日は雨だから、読んでもズレるかもな」
その“ズレる前提”こそが、スコアを守る本当の戦略なのです。