Par5は、スコアメイクの要ともいえるホール。
2オンが難しくても、3打目を確実にグリーンに乗せてバーディチャンスにできれば、大きな武器になります。
しかしこの「寄せたい」3打目こそ、ゴルファーの心理を乱し、スコアを崩す原因にもなりがちです。
特に50〜90ヤード前後の中途半端な距離のアプローチでは、番手や打ち方に迷い、バンカーや奥へのミスでボギー、ダボ…という苦い経験をした方も多いのではないでしょうか。
今回は、Par5の3打目アプローチを成功に導くための5つの戦略思考をお伝えします。
① 「ピンを狙うな。落とし所を狙え」——狙いどころの再設計
Par5の3打目でありがちなのが、「ピンばかりを見てしまうこと」。
しかし実際には、ピン周辺がバンカーや傾斜、奥のOBなどに囲まれているケースが多く、リスクの塊でもあります。
重要なのはピンが奥だから奥に打つといった、「ピンの近くを狙う」よりも「パットしやすい場所に運ぶ」こと。
可能な限りグリーンの傾斜や奥行きを確認し、安全かつ上りのラインが残るエリア=落とし所を設定しましょう。初めてのコースでグリーンの形状がわからない場合でも3打目地点から、グリーンのどのあたりの傾斜が強く、どのあたりなら良いかなというのを見るようにしましょう。
落とし所を基準にクラブや球筋を決めるだけで、戦略的なショットに変わります。
② 中途半端な距離ほど「得意な距離」に刻む逆算思考
Par5の2打目でよくあるのが、「とりあえず前に運ぼう」として、結果的に残り60~70ヤードなどの中途半端な距離を残してしまうパターン。
不慣れな距離を打とうとすると、不慣れな力加減でのショットになりやすいため、ミスの誘発につながります。
むしろ、2打目の段階で3オンでいくと判断ができるなら、自分の得意な距離(例:90y~100yなど)を残すように刻むという考えを持ちましょう。
たとえ距離が少し残ったとしても、自信を持って打てる状況がスコアに直結します。
③ 番手は「飛距離」ではなく「スイングの再現性」で選ぶ
3打目のアプローチでは、「距離が70ヤードだから52度」といった選び方をしがちですが、ミスが出るのは大抵「これぐらいの振り幅かな等と考えながら打つ時」や「加減して打つ時」です。
特にプレッシャーがかかる状況では、自分のスイングリズムを崩さない番手を選ぶことがポイント。
例えば、「52度でコンパクトに打って70yを狙う」よりも、「56度をいつも通りに打って、大きくて75y」の方が普段の練習のスイングに近く、リズムも安定します。
クラブ選びは**「いつも通りに振れる番手」>「狙う距離」**という視点で考えることが重要です。
④ ライ・風・傾斜…状況判断は4つの情報から
3打目の成功率は、スイング以前の「情報整理」が大切です。
1打目、2打目と良い感じでくると、3打目は寄せたいという気持ちも強くなり、力んだり、体が硬くなりスイングリズムがずれたりとミスを誘発します。そんな3打目はもう一度気持ちを落ち着かせて、改めて以下の4つを、打つ前に必ず確認することで成功につながってきます。
- ライ:芝の薄さ、浮き沈み、ラフの抵抗
- 風:フォローかアゲンストか、横風の強さ
- 傾斜:足元や落とし所の傾斜で球筋や転がりが変わる
- グリーンの硬さ・スピンの入り方:高く止めるのか、低く出して転がすのか
これらの要素を打つ直前ではなく、「3打目の少し手前」から全体を見ながら確認しておくことで、冷静な判断ができるようになります。
⑤ バーディを狙うには「冷静さを保つ仕組み」が必要
3打目というのは、「バーディが取れるかもしれない!」という欲が出やすい場面です。
この感情が焦りを生み、ルーティンを飛ばしたり、クラブを変えたくなったり、スイングテンポが速くなったりします。
こうしたメンタルのブレは、結果としてミスにつながります。
そこで効果的なのが、“マイ・チェックリスト”を持つこと。
たとえば…
- 落とし所はどこか?ピンが奥みたいだから奥に打とうとしていないか。
- スイング時の注意点を忘れていないか?
- ライや傾斜、グリーン周りを見たか?
- この番手は振りやすいか?
このような確認事項を3打目の前のルーティンに組み込むことで、精神的なブレを抑えることができます。
まとめ:寄せたいなら、引いて考えよ
Par5の3打目は、バーディを取る最大のチャンスであり、ミスにつながりやすい場面でもあります。
そしてミスの多くは、「寄せたい」という気持ちが強すぎることから生まれる判断ミスと準備不足です。
寄せるには、引いて考える冷静さと情報整理が必要です。
落とし所を明確にし、得意な距離で自分のスイングを再現する。
その戦略ができれば、Par5の3打目は確実にスコアアップの武器になるはずです。